教会の窓から差し込み淡い光、棺に眠る母のプロンドは輝き、あたりは光の雲に包まれているように見えた。子供の頃から母の髪が羨まし くてならなかった。けれど私が本当に羨んだのは母の静かで 強い心根だった。親のない子供達の為、その時、自分に出来る事をもくもくとする母、私は孤児に見せる笑顔があまりに素敵すぎて嫉妬もしたけれど、そんな母の娘であることが 本当は誇りだった。なのに・・・貴女は死にゆく唇でそんな 娘の想いを打ち砕いた。今、私は独り、背負わされた重荷を前に途方に暮れている。亡き父の後を継ぐ日、”女”に鍵を 掛け生きるしかなかった私。そんな自分の娘にこの酷い仕打は?貴女の逝ってしまった悲しみも凍り付いてしまった。 もう誰も信じない。私は孤独の鎧に身を包み生きていく。 産まれてこなければ良かった。